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プレスリリース

2025年07月11日 更新

【ニュース】装着型サイボーグHAL®が脳の可塑性を引き出す 〜筑波大学研究チームがHAL®の脳活動への影響をfNIRSで実証〜

  2025年7月7日、国立大学法人筑波大学は、装着型サイボーグHAL®の使用が人間の脳に与える影響に関する世界初の脳計測研究の成果を発表しました【*1】。
「サイボーグ型ロボットは装着者の意思の力により脳の可塑性を引き出す」ことを確認するため、本研究では、装着型サイボーグHAL®を用いて動作・運動を行うことで、脳の高次運動野の神経活動が活発に働くことを明らかにしました。

■ 研究概要と手法
筑波大学の研究チームは、装着型サイボーグHALを装着した状態で上肢運動を行う際の脳活動を、**fNIRS(機能的近赤外分光法)**を用いて可視化・定量化しました。健常成人20名を対象に、以下の3条件下で「腕を上げる」動作を行わせ、前頭葉における高次運動野の活動を比較しました。
1. 自発運動:自力で腕を上げる
2. 能動的ロボット支援:HALが装着者の意思を読み取り動作する
3. 受動的ロボット支援:HALが意思に関係なく動作する
その結果、自発運動および能動的ロボット支援の条件では、運動前野を含む高次運動領域が有意に活性化。一方、受動的支援条件ではこの活性化が著しく低下しました。これは、「装着者の意思の有無が、脳活動に直接的な影響を与える」ことを示す重要な科学的証拠となります。

装着型サイボーグHALは、装着者の動作意思に基づく脳神経系由来の生体電位信号を読み取り、身体を動かそうとする意思に応じて駆動すると同時に、筋紡垂などの末梢の固有受容器からの感覚神経系の情報が脳に戻っていく仕組み(iBF原理)を持っています。本研究では、HALを用いた運動時において、装着者の「動かそうとする意思」と連動して脳の高次運動領域が有意に活性化されることが確認されました。これにより、HALが脳の神経可塑性を誘導し得る可能性が示され、HALが身体の機能改善や機能再生をもたらす科学的根拠の一つとなることが示されました。

この研究成果は、国際学術誌「IEEE Transactions on Neural Systems and Rehabilitation Engineering(2025年6月号)」に掲載されました。同月にはHALが脊髄損傷(SCI)に起因する複数の機能障害に対し、全身的・包括的な治療効果を持つ唯一の医療機器であることが、システマティック・レビューにより国際医学誌に発表されましたが【*2】、本研究により、装着型サイボーグHALが、装着者の脳神経系に直接働きかける先進的な治療技術であることが、脳活動の側面からも裏付けられたものとなります。

【参考情報】
*1 筑波大学プレスリリース(2025年7月7日)
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/pdf/p20250707143000.pdf

*2 HAL®、神経可塑性を誘導し全身的な治療効果を示す唯一のデバイスとして国際医学誌に掲載
https://www.cyberdyne.jp/company/PressReleases_detail.html?id=14975

(※)本研究の著者の一人である鈴木健嗣・筑波大学システム情報系教授は、当社の社外取締役を務めており、当社の株主でもあります。

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以 上

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